「歌がうまい人」ってどんな人ですか? – 遠雷
テレビで「歌がうまい」と言われる人を見ると、
「正確な音程を保ちながら、太い大きな声で歌える」
だけじゃないかと思ってしまう今日このごろ。
じゃあ歌が上手い人ってなんだろうとよく考えます。
定義が曖昧な中ではありますが、
「あぁ歌がうまいってこういうことじゃないかしら?」
って思えたのが、この方。
杉瀬陽子「遠雷」
出逢いは大阪・阿波座にあるカフェmartha。
年末に大忘年会と称して、たくさんのアーティストを招いてライブを行う
この場所で、杉瀬陽子の歌を初めて聞いたのです。
そして歌い出しの第一声で耳と心をがっつり掴まれてしまいました。
優しいのだけれど、力強く、しかしながら少年のような脆さも感じられる声。
スッと歌の世界に入り込め、雨に濡れた彼岸花の赤や線香花火の火花など、
ノスタルジックな風景が鮮明に浮かびます。
大声で聞き手を圧倒するのではなく、
聞き手が入り込む余白のある歌と言ったらよいのでしょうか。
よく”心に沁みる”と言いますが、心にももちろん沁みてくるのですが、
こちらも歌の余白に入り込んでいけるので、歌とじんわり溶け合うような
何とも言えない感覚が味わえました。
私にとっての「歌がうまい人」の定義は、
「余白がある人」なのかもしれません。
奇妙礼太郎とデュエットしている、「Sweet memories」でも
彼女ならではの表現をしていて、切ない曲なんだけれども
むちゃくちゃカッコいい痺れる歌になっていますよ。
あなたにとっての「歌がうまい人」はどんな人ですか?
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